「コンサル=民間企業の経営支援」というイメージが一般的ですが、実際には中央省庁・自治体・公的機関を顧客とする一大領域があります。公共コンサル(公共セクターコンサル/官公庁コンサル)と呼ばれる分野です。エネルギー政策、GX(グリーントランスフォーメーション)、経済安全保障、地方創生、行政DX、官民連携といった国の重要施策の裏側で、数多くのファームやシンクタンクが調査・分析・制度設計を担っています。

この記事の特徴は、イメージや事例の紹介にとどまらず、経済産業省が公開する委託調査報告書2,274件を基に分析し、「どんな会社が、どんなテーマの案件を、どれだけ受託しているのか」をデータから実態を描いている点です。その上で、主要プレイヤー・仕事内容・年収・未経験からの選考・キャリアパスまでを、元コンサルタント(かつ元官僚)の視点で整理します。

公共コンサルとは|定義と「似た仕事」との違い

公共コンサルとは、政府・地方自治体・独立行政法人・公的機関などをクライアントとし、政策の調査研究、制度設計、計画策定、実証事業の運営、データ分析、業務改革などを支援する仕事(およびそれを担う企業)を指します。「公共コンサル」という言葉自体は明確な業界区分ではなく、公共案件に関わる多様なプレイヤーの総称として使われています。

最大の違いは目的です。民間企業向けコンサルが「企業価値・利益の向上」を目的とするのに対し、公共コンサルは「公共の利益」「政策効果」を判断軸とします。成果物の多くが報告書として公開され、第三者の検証にさらされる点も、民間案件との大きな違いです。コンサルティング業界全体の分類との関係を整理したい方は、関連記事「戦略コンサルと総合コンサルの違い」もあわせてご覧ください。

混同されやすい言葉との違いも整理しておきます。シンクタンクは、もともと調査研究や政策提言を起点に発展した組織ですが、現在は課題の特定から実行支援、コンサルティングまで幅広く担っており、公共コンサルと業務は大きく重なります(両者を明確に線引きするのは難しいのが実情です)。官僚(公務員)との違いは、官僚が法案・予算を作る「制度の作り手」であるのに対し、公共コンサルは外部から調査・分析・実行を支援する立場である点です。地方創生コンサル・行政コンサルは、それぞれ地域振興・行政機関に特化した呼称で、公共コンサルはこれらを包含するより広い概念と捉えると分かりやすいでしょう。

近年この領域の人材ニーズは高まっています。背景にあるのがEBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の推進です。内閣府が2024年に「EBPMアクションプラン2024」を策定し、半導体・GX投資、医療・介護、公教育など複数の重点分野でエビデンスに基づく政策立案を進める方針を示しました。一方で行政内部の専門人材やデータ基盤は十分とは言えず、シンクタンクやコンサルティングファームなど外部機関の活用が広がっています。

公共コンサルの主要プレイヤーと類型

公共案件に関わるプレイヤーは、大きく次のように整理できます(本記事独自の便宜的な分類です。各社の強みはオフィスやチーム単位でも異なるため、あくまで全体的な傾向として捉えてください)。

国内シンクタンク大手系(三菱総合研究所、野村総合研究所、みずほリサーチ&テクノロジーズ〔2026年4月にみずほ銀行へ統合〕、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、日本総合研究所、NTTデータ経営研究所など)は、官公庁調査の歴史が長く、政策テーマを横断的にカバーする総合力が強みです。後述するデータでも、受託件数の上位を占めます。

外資系戦略ファーム(マッキンゼー・アンド・カンパニー、アーサー・ディ・リトル、ボストン・コンサルティング・グループなど)は、件数こそ多くないものの、新産業創出・イノベーション・ヘルスケアなど戦略性の高いテーマで存在感を発揮します。

監査法人・FAS系は、Big4(デロイト・PwC・EY・KPMG)グループの監査法人、その系列のコンサルティング会社、FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)を、母体グループ単位でまとめた区分です(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、EY新日本有限責任監査法人、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティングなど)。制度設計・財務・規制対応・データ分析に強みを持ちます。なお、PwCコンサルティングやデロイト トーマツ コンサルティングといったコンサル部門は、機能的にはアクセンチュア等と同じ「総合系コンサル」に位置づけられることも多く、本記事では母体グループ単位で便宜的に分類しています。

総合・ITコンサル(アクセンチュア、アビームコンサルティング、日立コンサルティング、NTTデータなど)は、行政DXやシステム構想・調達支援で関わるケースが多い領域です。

調査・データ会社(東京商工リサーチ、帝国データバンク、矢野経済研究所など)は、企業情報や市場調査を強みに、中小企業政策や各種の実態調査で活躍します。

そして見落とされがちですが、建設系・インフラ系コンサル(日本工営、パシフィックコンサルタンツ、建設技術研究所、八千代エンジニヤリングなど)も、防災・国土整備・社会インフラの維持管理といった分野で大きな役割を担っています。主な発注元は国土交通省ですが、経済産業省のデータでは、日本工営(11件)やパシフィックコンサルタンツ(10件)などがエネルギー・環境(GX、二国間クレジット、洋上風力など)の文脈で登場します。「公共コンサル」を広く捉えるなら、この建設・インフラ系も重要な担い手です。

さらに、専門研究機関(日本エネルギー経済研究所、電力中央研究所、産業技術総合研究所など)と業界団体・公的法人系(高圧ガス保安協会、地球環境産業技術研究機構、各種の保安・検査協会など)も、エネルギー・産業保安・標準化といった専門領域で数多くの調査を担う重要な担い手です。このほか、地域シンクタンクや法律事務所なども、それぞれの分野で公共案件に関わっています。コンサルティングファームの分類全体については、関連記事「コンサルティング業界の分類」でも整理しています。

【独自データ分析】どんな会社が、どんな案件を受託しているのか

前章で挙げたプレイヤーが、実際にどれだけ・どんな案件を受託しているのか。経済産業省が公開している「委託調査報告書」のダッシュボードは、それを知るうえで貴重な一次情報源です。同省が外部に委託した調査の報告書が、受託事業者名・担当部局・テーマとともに一覧化されています。今回、ここに掲載された2,274件(掲載日:2021年8月〜2026年6月、令和3〜7年度分が中心/受託者は約470社・団体)を全件取得して分析しました。

本分析は、2026年6月17日時点で同ダッシュボードに公開されていた全レコード(2,274件)を取得・集計したものです。最も古い掲載日は2021年8月31日、最も新しい掲載日は2026年6月16日で、この期間に公開されたすべての委託調査報告書を対象としています。令和6・7年度分は報告書が順次公開中のため、件数は今後も増えていきます。

なお本分析は「経済産業省」の委託調査に限った一断面です。内閣府・総務省・国土交通省・厚生労働省・文部科学省・デジタル庁など他省庁の委託は含みません。件数は報告書のHP掲載日基準のレコード数で、契約金額や受託件数の公式統計ではありません。分類は本分析上の便宜的なグルーピングです。表中は報告書公開当時の受託者名で表記しています(みずほリサーチ&テクノロジーズのみずほ銀行統合については前章参照)。

受託件数の上位プレイヤー

受託件数の上位20社と「その他(21位以下の449社)」をまとめると、次のとおりです。最下段に伸びる「その他(449社)1,204件」の帯が、この市場の裾野の広さを物語っています。

受託件数 上位20社とその他(経済産業省 委託調査・全2,274件)

受託件数の上位は、三菱総合研究所(149件)、野村総合研究所(112件)、みずほリサーチ&テクノロジーズ(107件)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(70件)、ボストン・コンサルティング・グループ(68件)、日本エネルギー経済研究所(64件)、有限責任監査法人トーマツ(56件)、PwCコンサルティング(51件)、日本総合研究所(48件)、高圧ガス保安協会(46件)と続きます。

注目すべきは、「公共調査はシンクタンクの独壇場」という通説が、データでは必ずしも成り立たないことです。国内シンクタンク大手が上位を占める一方、外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループが5位に入り、監査法人系(トーマツ・PwC・デロイト・EY)も合計290件と厚い層を形成しています。

注:「日本総合研究所」はデータ上『株式会社』(4件)と『有限会社』(44件)の表記が混在していますが、同じ看板事業(ヘルスケア産業基盤高度化推進事業 等)を連年受託しており、SMBCグループの同一法人とみて合算(計48件・グラフ上は9位)しています。

市場構造|「大手だけの世界」ではない

前章の類型ごとに受託件数を集計すると、この市場の性格がよく分かります。

類型

件数

構成比

国内シンクタンク大手系

550

約24%

監査法人・FAS系

290

約13%

業界団体・公的法人系

270

約12%

専門研究機関

257

約11%

外資系戦略ファーム

103

約5%

調査・データ会社

97

約4%

総合・ITコンサル

40

約2%

その他(専門コンサル・事業会社系等)

667

約29%

先ほどのグラフが示すとおり、受託件数のシェアは、首位の三菱総研でも全体の約6.6%、上位5社合計で約22%、上位20社合計でも約47%(1,070件)にとどまります。残りは21位以下の449社(社数では全体の約96%)が、件数の約53%(1,204件)を分け合っている計算です。さらに、約470社のうち約48%(227社)は過去5年で1回しか受託していません。つまり公共調査の市場は、知名度の高い大手が上位を占めつつも、専門研究機関・業界団体・地域シンクタンクといった「裾野」が極めて広い、典型的なロングテール構造で、一握りの大手が独占する世界ではありません。

どんなテーマが多いのか

報告書名のキーワードから調査テーマを集計すると(1件が複数テーマに該当しうるため合計は総数と一致しません)、件数の多い順に、エネルギー・電力(463件)、中小企業・地域経済(300件)、市場・実態調査(296件)、DX・デジタル・AI(280件)、GX・脱炭素(188件)、産業保安・安全(183件)、経済安全保障・通商(139件)、スタートアップ・イノベーション(138件)と続きます。経済産業省らしくエネルギーと産業政策が中核ですが、GX・経済安全保障・スタートアップ支援といった新しい政策テーマが存在感を増しています。

興味深いのは、ファームの類型によって得意テーマが分かれることです。外資系戦略ファームは件数こそ少ないものの、ヘルスケア(77件中15件)やGX・DXといった戦略性の高い領域に集中しています。ヘルスケア分野では外資系戦略ファーム(15件)が監査法人系(6件)を上回るのが象徴的です。一方、監査法人系はスタートアップ・イノベーション(138件中38件)や経済安全保障(18件)で存在感を発揮しています。発注元(担当部局)では資源エネルギー庁(390件)が突出し、製造産業局(231件)、商務・サービスグループ(221件)、中小企業庁(173件)が続きます。

主要テーマを誰が担っているかを、ファーム類型(簡易6分類)で示すと次のとおりです(専門研究機関・業界団体は「その他」に含みます。1件が複数テーマに該当する場合があるため、行の合計は該当総数と一致します)。

テーマ

シンクタンク

監査FAS

外資戦略

総合IT

調査

その他

該当総数

エネルギー

139

40

13

4

9

258

463

GX・脱炭素

44

26

16

0

1

92

179

DX・AI

42

26

12

8

9

90

187

経済安保

26

18

7

1

4

63

119

スタートアップ

29

38

5

0

6

60

138

ヘルスケア

25

7

15

2

0

28

77

ヘルスケアで外資系戦略ファーム(77件中15件)、スタートアップで監査法人・FAS系(138件中38件)が、全体シェア(外資約5%・監査FAS約13%)を大きく上回っている点が読み取れます。

クロス集計から読み取れる3つの示唆

ここまでの集計を掛け合わせると、転職を考えるうえで役立つ示唆が見えてきます。

第一に、会社・団体ごとに「食い込んでいる政策領域」が違います。省内の担当部局(資源エネルギー庁・中小企業庁などの外局を含む)の単位で見ると、得意分野がはっきり分かれます。たとえば三菱総研は資源エネルギー庁(同社最多の54件)、みずほリサーチ&テクノロジーズは商務情報政策局(サイバーセキュリティ等)、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは製造産業局・中小企業庁が中心です(野村総研はエネルギーから製造・経済産業政策まで横断的)。また産業保安のように、高圧ガス保安協会(同分野31件)など特定の業界団体が継続的に担う領域もあります。社名や「大手シンクタンク」という括りで判断せず、自分の関心領域に各社が強いかどうかという観点で考えることも重要です。

参考までに、各ファームが多く受託している政策領域(経済産業省内の担当部局・上位3つ)を一覧にすると、専門特化の違いがよく分かります。

会社名

総受託件数

担当部局 1

担当部局 2

担当部局 3

三菱総合研究所

149

資源エネルギー庁 (54)

産業技術環境局 (17)

商務情報政策局 (16)

野村総合研究所

112

資源エネルギー庁 (26)

製造産業局 (20)

経済産業政策局 (17)

みずほリサーチ&テクノロジーズ

107

商務情報政策局 (21)

資源エネルギー庁 (17)

製造産業局 (15)

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

70

製造産業局 (15)

商務・サービスG (10)

中小企業庁 (7)

ボストン・コンサルティング・グループ

68

商務・サービスG (16)

産業技術環境局 (14)

商務情報政策局 (11)

有限責任監査法人トーマツ

56

電力・ガス取引監視等委員会 (10)

商務・サービスG (7)

産業技術環境局 (7)

PwCコンサルティング

51

商務・サービスG (11)

商務情報政策局 (11)

中小企業庁 (6)

日本総合研究所

48

商務・サービスG (24)

資源エネルギー庁 (7)

経済産業政策局 (6)

デロイト トーマツ コンサルティング

45

資源エネルギー庁 (8)

製造産業局 (5)

GXグループ (4)

アクセンチュア

23

産業保安グループ (8)

中小企業庁 (4)

資源エネルギー庁 (3)

アーサー・ディ・リトル・ジャパン

19

製造産業局 (9)

商務・サービスG (4)

商務情報政策局 (2)

マッキンゼー・アンド・カンパニー

12

商務・サービスG (5)

資源エネルギー庁 (3)

経済産業政策局 (2)

第二に、担い手はコンサル・シンクタンクだけではありません。専門性があれば、入口は一つではないということです。今回のデータでも、法律事務所(経済安全保障・通商ルール関連などで31件)、大学(33件)、調査会社や測量・空間情報会社など、いわゆるコンサル以外の専門プレイヤーが数多く受託しています。元コンサルタントでなくても、特定領域の専門性を武器に公共調査へ関わる道があります。

公共コンサルの仕事内容と分野

公共コンサルの業務は、おおむね次のような分野に分かれます。

  • 政策立案・実行支援:政策の調査・設計・効果検証を担う中核業務です。行政機関はデータや現場の情報自体は持っていても、それを分析・活用する人材や体制が不足しがちで、その専門性を外部から補い、データを政策の根拠へと変える役割が求められます。
  • 地方創生・地域活性化支援:人口減少や産業衰退に直面する自治体を対象に、観光振興・移住促進・地域DXなどを支援します。
  • 行政DX・デジタル化推進:住民向けサービスのオンライン化や行政の業務改革(BPR)を扱う、近年最も伸びている領域の一つです。
  • 官民連携(PPP/PFI):公共施設の整備・運営に民間の資金やノウハウを活用する手法の導入支援。PFI法に基づく事業スキームの設計などが含まれます。
  • その他:財政・社会保障制度の調査研究、行政組織の改革、社会インフラの整備・維持 など。

共通するのは、最終的な意思決定者が「行政」であり、成果物が公共的な説明責任にさらされる点です。そのため、論理の一貫性、データの裏付け、第三者が読んで再現・検証できる記述が、民間案件以上に重視されます。

仕事を受注する仕組み|入札・企画競争という独特の世界

公共コンサルが民間コンサルと最も異なるのが、仕事を受注する仕組みです。官公庁の調査事業は、原則として競争性のある調達手続きを経て発注されます。代表的なものが、価格と技術提案を点数化して評価する「総合評価落札方式(一般競争入札)」と、技術提案の質を中心に評価して優先交渉先を選ぶ「企画競争(プロポーザル方式)」です。

つまり、案件ごとに提案書を作成して他社と競い、選ばれて初めて受注できます。コンサルタント自身が提案書づくり(企画競争への対応)に深く関わる場面も多く、この提案力が事業者の競争力を左右します。加えて、行政の予算は単年度主義が基本のため、多くの調査事業は年度内(おおむね春に契約し、翌年2〜3月の年度末に報告書を納品)で完結し、年度末に業務が集中しやすい季節性があります。この「提案で勝ち取り、年度内に納める」サイクルは、民間案件にはない公共コンサル特有の世界です。

公共コンサルの年収

多くのファームには公共・官公庁を担当する部門やチームがありますが、その部門だけ給与テーブルが独立しているわけではなく、年収は所属ファームの類型と職位で決まるケースが多いようです。年収は「公共を担当するかどうか」だけでなく、ファームの類型(大手総合・戦略系か、シンクタンク系か、建設・インフラ系か)と職位の影響が大きいため、公共コンサルの年収は公共案件を多く扱う類型ごとに見るのが実態に近いでしょう。あくまで若手コンサルタントの一般的な目安として、大手総合・戦略系のコンサルファームで約800万〜1,500万円、民間系シンクタンクで約600万〜1,200万円、建設・インフラ系コンサルで約500万〜900万円といったレンジで語られることが多い領域です。政府系・公的機関系のシンクタンクは、国家公務員の給与体系に準じる場合があり、相対的に水準が抑えめになる傾向があるとされます。

年収に関する公式の開示情報は存在せず、上記は転職エージェント業界調査・口コミサイト集計などを総合した一般的な目安です。同じファームでも担当領域や職位によって差が大きく、レンジを断定的に受け取らないことをおすすめします。コンサル業界全体の年収相場は、関連記事「コンサルタントの年収リアル」をご参照ください。

年収を軸に考えるなら、特定のファーム名で比べるよりも、自分の専門性をどの類型のファームの、どの職位で活かせるかを起点にするのが現実的です。

選考プロセスと、未経験から転職するには

選考プロセスはファームによって異なりますが、書類選考のあと複数回の面接が組まれるのが一般的です。シンクタンク系や監査法人系では、これまでの調査・分析・文章作成の経験や、関心のある政策領域についての考えが問われる傾向があります。外資系戦略ファームでは、論理的思考力を見るケース面接(与えられた課題をその場で構造化して考える面接)が課されることが多く、行動特性を問う面接も重視されます。準備の進め方は、関連記事「ケース面接対策:準備の始め方」「ビヘイビア面接(行動面接)の完全対策」で解説しています。

未経験からの転職も十分に可能性があります。公共コンサルの採用ニーズは高く、コンサル経験者が優遇されやすい一方で、官公庁・自治体での実務経験、税務・財務会計、IT・システム、リサーチ・統計といった専門性を持つ人材も歓迎されます。前職の経験を「公共領域にどう活かせるか」を具体的に言語化できることが、選考突破の鍵です。社会貢献への関心だけでは差別化が難しく、過去の経験と志望動機の接続が重視されます。公務員からの転職に関心がある方は、関連記事「公務員からコンサルへ」もあわせてご覧ください。

キャリアパスとポスト公共コンサル

公共コンサルで身につくのは、政策・産業領域の深い知見、リサーチと文章構成の力、多様なステークホルダーを調整する力です。これらは応用範囲が広く、その後のキャリアの選択肢を広げます。官公庁・公的機関への転身、事業会社の経営企画・渉外・公共政策(パブリックアフェアーズ)部門、業界団体、コンサル内での民間部門への異動など、多様な進路が考えられます。

ポストコンサル全体のキャリアの広がりについては、関連記事「【2026年版】ポストコンサルのキャリアパス」で詳しく解説しています。

【Q&A】公共コンサル転職のよくある質問

Q. 公共コンサルは未経験からでも目指せますか?
A. 可能性はあります。コンサル経験者が優遇されやすい一方で、官公庁・自治体の実務、税務・財務、IT、リサーチ・統計などの専門性を持つ人材も対象になります。社会課題への関心だけでなく、過去の経験を公共領域にどう活かせるかを具体的に説明できることが重要です。

Q. 公共コンサルと民間向けコンサルの違いは何ですか?
A. クライアントが行政機関・自治体・公的機関である点、目的が「公共の利益・政策効果」である点、成果物が公開され第三者の検証にさらされる点、そして仕事を入札・企画競争で受注する点が、民間向けコンサルとの主な違いです。

Q. シンクタンクと公共コンサルはどう違いますか?
A. シンクタンクは調査研究・政策提言など分析重視、公共コンサルは課題特定から実行支援まで多角的、という整理が一般的です。ただし業務は大きく重なり、今回のデータでも両者が同じ調査市場で並んで受託しています。

Q. 年収は公務員より高いですか?
A. 一概には言えません。大手コンサル・民間系シンクタンクはコンサル業界水準(職位により幅が大きい)ですが、政府系・公的機関系は国家公務員の給与体系に準じる場合があります。「公共=低い」とは限らず、ファームの類型と職位で大きく変わります。

Q. 公共系は楽だと聞きますが本当ですか?
A. 一概には言えません。年度末(2〜3月)の納品に向けて業務が集中しやすい季節性があり、調達手続きや報告書の形式要件など民間案件とは異なる負荷もあります。「楽/激務」の二分法ではなく、繁閑の波や仕事の性質が民間と異なる、と捉えるのが実態に近いでしょう。

Q. 公務員からの転職は有利ですか?
A. 行政の意思決定プロセスや政策の文脈を理解していることは確かな強みです。ただし、提案書作成やデータ分析などコンサルとしてのアウトプットの作法は入社後に身につける必要があります。

まとめ

  • 公共コンサル(官公庁コンサル)は、中央省庁・自治体・公的機関を顧客に政策の調査・設計・実行を担う領域で、EBPM推進を背景に人材ニーズが高まっています。
  • 担い手は、国内シンクタンク大手・外資系戦略ファーム・監査法人/FAS系(Big4)・総合/ITコンサル・調査会社・専門研究機関・業界団体・建設インフラ系など多様です。
  • 経済産業省の委託調査2,274件を独自分析すると、三菱総研・野村総研・みずほリサーチ&テクノロジーズ・日本総研など国内シンクタンク大手が上位を占めつつ、ボストン・コンサルティング・グループ(外資系戦略)やトーマツ・PwC・デロイト・EY(監査法人系・計290件)も有力な担い手で、「シンクタンクの独壇場」ではありません。
  • 受託者の約48%は5年で1回限りの受託で、専門・地域系を含む裾野の広いロングテール市場です。
  • 入札・企画競争で受注し、年度内に納品するサイクルは、民間コンサルにはない独特の世界です。
  • 年収は公式開示がなく類型と職位による差が大きいため、断定的な数字より「自分の専門性をどの類型で活かすか」で考えるのが現実的です。

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監修

本記事は、戦略コンサルティングファームや官公庁での実務経験を持つVOLVEのアドバイザーが監修しています。官と民の双方を知る立場から、公共セクターコンサルの実態をできるだけ正確にお伝えすることを心がけています。

参考文献・出典